流産率の低下と着床率の向上を目的とする着床前診断を推進する会

着床前診断について
着床前診断について

着床前診断は流産を予防することのできる技術です。

専門的な内容については神戸ARTレディスクリニックの大谷徹郎院長先生と遺伝カウンセラーの大石先生のアドバイスを受けています。

女性の年れと染色体の異常を持つ胚盤胞の割合(米国のデータ)

結婚したら数年のうちに妊娠して、無事に赤ちゃんがうまれて家族が増えていく。多くの方々が無意識のうちにこの様な人生設計をされていると思います。 しかし、特に異常のない方の自然妊娠でも、出産に至るのは受精卵の約25%~30%にすぎません。残りの受精卵は、子宮に着床することができずに妊娠に至らないか、あるいは妊娠したとしても流産や死産となってしまいます。

これは、受精卵の多くに染色体異常が認められることが大きな要因です。実際に流産となった胎児の染色体を調べると、66%に染色体異常が認められます。さらに卵子の老化も大きな問題です。女性の年齢が高くなると、卵巣に残っている原始卵胞の数が減って元気がなくなると共に、卵子の染色体異常が増えてしまいます。これら染色体異常の受精卵のほとんどは着床すらしてくれず、もし着床してくれたとしても大部分は流産に終わってしまいます。そこで着床前診断が有効なのです。

ペンディング

着床前診断(PGD)は妊娠が成立する前、つまり体外受精でできた受精卵を培養して子宮に戻してあげる前に、受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べる医療技術です。着床前診断(着床前染色体検査)を受けると、もともと染色体異常で着床できない受精卵、あるいは流産や死産となる運命の受精卵を見分けて、着床可能で妊娠継続可能な染色体を持つ受精卵だけを子宮に戻すことによって、体外受精の妊娠率を上げて、流産率を下げることが出来ます。

但し、着床前診断の精度は97%程度です。受精卵は本来多様な染色体情報を持った細胞からなるモザイクですし、検査技術上の限界もあり、100%ではありません。 また、流産の原因には染色体異常以外のものもあるので、着床前診断を受けても流産が起こる可能性は10%ほど残ります。

更に着床前診断を受ければ出産率が上がるという単純な話ではなく、加齢に伴い検査できる受精卵(胚盤胞)まで育たない、また検査出来ても染色体正常な受精卵が見つからず、母胎に戻せない可能性もあります。ただ、染色体正常な受精卵が見つかれば年齢に関係なく、移植した受精卵1個あたりの着床率をほぼ70%に保つことができます。

【当会では流産率を下げて着床率を上げる目的とする染色体の着床前診断を推進しており、遺伝子の着床前診断については推進、否定、いずれの立場も取っておりません。】

考えられるデメリット
  • ・金銭的負担が増える可能性がある
  • ・検査をしても正常卵が見つかるとは限らない
  • ・検査可能な施設が現状限られている
  • ・初期胚での妊娠の可能性の機会が失われる(胚盤胞が得られないと検査できない)
  • ・胚にダメージを与える可能性がある
  • ・モザイクと判定され、移植するかどうか迷うことが有りうる
  • ・生まれる可能性のある受精卵(モザイクなど)が移植されず失われる可能性がある

ご注意
上記のデメリットは一般的な項目ですが、着床前診断は非常にデリケートな診断です。 個人により状況は大きく異なりますので、上記のデメリットがメリットになる場合、またメリットとされることも、個人によっては有効でない場合もございますので、ご了承ください。

20代後半から30代の若いご夫婦の一例
自然妊娠はするものの、反復流産を起こすためPGSを検討されました。結果は、不育検査に異常はなく、転座もありません。PGSのカウンセリングでも、有効性が不明で明確な理由が判明しませんでした。しかし、確率は高くないけれども、若くても染色体異常の胚が存在する場合はあります。PGSをして、正常卵を戻す事ができれば、それは数%でも流産防止につながる可能性があることをご説明しました。そのうえで最後はご夫婦で話し合い、決断されて、PGSを受けられました。正常卵を移植し妊娠した現在、卵の染色体は正常と分かっているため、もし万が一のことがあった場合は他に原因があるかもしれない、という大きな不安が消えることはない、と話されています。

当ページ以外にも、ネット上にはPGSのメリット・デメリットの情報が多く載せられていますが、ご夫婦でしっかり話し合い、医師と納得いくまで治療方針を話し合い、カウンセリング等での正確な数値や確率、個人の状況などを踏まえて、ご夫婦でご判断されることが大切です。