流産率の低下と着床率の向上を目的とする着床前診断を推進する会

お知らせ記事一覧
お知らせ記事一覧

匿名

2019.02.27

私たち夫婦は、転座保因者で流産を繰り返し、ダウン症の子どもを授かりました。
その後神戸ARTレディスクリニックに通院し、2人の子どもにも恵まれました。
3人の子どもの親になれたのは、PGT-Aの技術と、それを提供してくださった
大谷先生のおかげだと感謝しています。

流産を繰り返す患者としての苦しさと、ダウン症を持つ人の家族であるという、
ある意味相反する立場を持つものとして、感じていることをお伝えします。

まず最初に言いたいことは、PGT-Aは不妊に悩むご家族にとって、なくてはならない治療法で、
患者が自由に選択できる治療法となってほしいと願っているということです。
その点においては、他の患者の会の方と意見は一致しています。

ただ、出生前診断が認められているのだから、PGT-Aも認められるべき、
という論法は、納得できない部分があります。
なぜなら、そもそも生命の選択という意味で反対の立場にある人たちは、
出生前診断にも反対の立場であって、その方たちに理解を求めるのためには、
この論法では無意味だと思っています。

また、現実的には「PGT-Aを受けること=21トリソミーの受精卵を廃棄すること」と
なっていることにも、疑問がわきます。
もちろん、PGT-Aを実施している先生方は、21トリソミーの受精卵を移植するかどうかは、
患者さんの選択にお任せしています、とおっしゃるでしょう。
ただ、皆さんは21トリソミー(ダウン症)を持つ人たちについて、
その選択をする際に、どれほどの情報をお持ちですか?
また、産科医からどれほどの情報を提供されましたか?

これは出生前診断でも同じことが言えますが、
ほとんどの場合21トリソミーのマイナスな部分のみが短時間で伝えられ、
受けられる公的な支援制度や、プラスの部分についての説明は省かれてしまいます。
その結果として、出生前診断よりも前の段階であるPGT-Aでは、
より安直に廃棄という選択が取られてしまうことを危惧しています。
(そういった意味では、出生前診断の方が堕胎というリスクのある選択をしなければならないので、
より真剣に出産するかどうかに向き合う機会があると思います)

確かに、21トリソミーの受精卵は80%は流産すると言われていますが、
逆にいうと20%は出産に至ることができるということです。
ダウン症の人の両親にとっては、どの子も可愛い我が子です。
もし廃棄という選択をするならば、ダウン症の人の本質を理解した上で
していただきたいと思っています。
そして、最後の移植のために凍結しておいても構わないので、正常卵が無くなった時に
21トリソミーの受精卵についても移植をトライする人が増えれば良いな、と思っています。

PGT-Aを受けるということと同時に、その結果としてどの受精卵をどう選別するかは、
遺伝カウンセラーなどの専門家の受診ができるような制度にすべきだと思います。
そして、もし21トリソミーの受精卵について、廃棄という選択をした患者さんがいたとしたら、
そのことをきっかけに、もしかしたら自分の子どもになっていたかもしれない
ダウン症の人たち、そして広くは障害を持つすべての人たちに目を向けていただき、
そういった人たちが暮らしやすい社会になるように、何かできることはないか、
と考えていただきたいです。
そういった多くの方の歩み寄りの一歩が、社会を動かす大きな力となると信じています。